日本と韓国の関係が急速に悪化している状況ですね。
2019年8月2日に日本は韓国を「ホワイト国」から除外すると発表しました。
これは輸出に関することなのですが、
- いったいホワイト国とはどういうこと?
- 韓国がホワイト国から除外されることになった決定的な理由は何?
- ホワイト国でなくなった韓国はどうなるの?
これらについて分かりやすく解説していきますね!
もくじ
ホワイト国とは?分かりやすくズバリ解説
ホワイト国から韓国を除外。関連イメージを添付します。 pic.twitter.com/pp0AJj4Yd6
— 足立康史 (@adachiyasushi) 2019年8月2日
ホワイト国の定義をひとことでまとめると、「兵器の開発に使用される可能性の品物や技術」の輸出優遇措置を取っている国のことです。
普通であれば大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用することもできてしまう軽、重化学工業製品全般を外国が日本から買いたい場合は、経済産業大臣に届け出をして許可がないと日本としては売らない決まりなのです。
これを通称キャッチオール規制と言います。(2002年4月から)、
その届け出も許可もなしで売っても大丈夫だよね!という国を日本としては「ホワイト国」と呼んでいたんですね。
つまり「武器に使える材料でもしっかり管理して正しく使ってくれると信頼した国」のことを指すわけです。
ちなみに「ホワイト国」という呼び方は2019年8月2日から「グループA」という呼び方に変わりました。
それに伴って今までの非ホワイト国は「グループB~D」という呼び方になります。
現在のホワイト国(グループA)はどこ?
2019年6月末時点では27ヵ国がグループA、いわゆるホワイト国として「輸出管理優遇措置」が取られています。
【ヨーロッパ】
アイルランド | イギリス | イタリア | オーストリア |
オランダ | ギリシャ | スイス | スウェーデン |
スペイン | チェコ | デンマーク | ドイツ |
ノルウェー | ハンガリー | フィンランド | フランス |
ブルガリア | ベルギー | ポーランド | ポルトガル |
ルクセンブルク | – | – | – |
【南北アメリカ】
アメリカ合衆国 |
アルゼンチン |
カナダ |
【アジア・オセアニア】
オーストラリア |
ニュージーランド |
韓国 |
この中から韓国がこのたび除外されたことになります。
(輸出管理優遇措置の撤廃を閣議決定)
先ほど、輸出貿易管理令の改正が閣議決定されました。
これにより韓国向け輸出には、一般包括許可が適用出来なくなるとともに、キャッチオール規制の対象となります。今後7日に公布、28日に施行されます。— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) August 2, 2019
2004年に韓国がホワイト国に認定されて以来、ホワイト国から除外される初めての国になります。
韓国がホワイト国から除外された決定的な理由は何?
韓国がホワイト国から除外された決定的な理由は、日本政府はハッキリと公表していません。
しかし経済産業大臣の世耕弘成氏が経緯をツイートしています。
経緯①
従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会がなくなっていた。— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 3, 2019
経緯③
さらに今年に入ってこれまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない。— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 3, 2019
経緯④
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであり、経緯①?③を勘案した結果、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていると判断し、厳格な制度の運用を行い、万全を期すこととた。— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 3, 2019
まとめるとこんな感じ。
- 前から韓国側の管理に不十分な点があったり、不適切な事案が複数あった
- 2019年になって友好協力関係に韓国側の否定的な動きが相次ぎ信頼関係が損なわれたと言わざるを得ない
以上のようなことがあり、韓国との信頼関係で輸出管理をしていくことが困難になったと判断したということですね。
これは一大臣からの発信ですがキャッチオール規制の当該省庁の大臣からのものですし、概ね政府の見解と思っていいのではないかと個人的には思います。
またここで言われている「管理の不十分」や「不適切な事案」というのはすでに報道もされている、韓国を経由して懸念国(中国や北朝鮮など)に兵器に使われる可能性のある輸出品が流されている可能性のことを指していると思われます。
ホワイト国から外すという対応は徴用工問題での日本による経済報復ではなく、韓国が行なった日本製フッ素化合物等の北朝鮮向け横流しに対する措置であって、密輸取締りの姿勢を見せるべきなのにこれに抗議する反対派の主張はズレてる。そもそもホワイト国として韓国を優遇してきたのは日本だけだった。
— フィフィ (@FIFI_Egypt) August 2, 2019
輸出管理はそもそも日本だけの問題ではなく、世界で協力して兵器が無秩序に拡散したりしないように平和や安定のために行っているものです。
だからこそ日本としてもノーチェックで兵器の材料になり得るものを輸出しているからには、輸出した国から懸念国に材料が行っているかもしれないこと自体が責任問題なのです。
いったん韓国に輸出されたものを日本が最後まで追いかけるのは現実問題として不可能です。
韓国を信じるか、輸出したものがどうなっているか質問したらしっかり答えを返してくれるしかないわけですね。
そこの土台が揺らいでしまったからこそ、世界に対しても日本の責任を果たすためにはホワイト国から除外という判断になったのだと私は理解しています。
よく言われる徴用工問題への報復ではないということは政府も強調しています。
ホワイト国でなくなった韓国は今後どうなる?何が規制されるの?
具体的に経済産業省が韓国に対して行うと決めた措置は次の2つです。
- 特定3品目の許可制度の変更
- ホワイト国からの除外
【韓国の「ホワイト国」除外を閣議決定 28日に施行】
今回の決定により韓国はグループA(ホワイト国)からグループBになるが、グループDになるわけではないので、ドラスティックな変化が起きるわけではない。冷静に見ないと
ただ、韓国の輸出管理体制の脆弱性は大きな問題https://t.co/quF7T10zF5 pic.twitter.com/yL8MR6XDvV— 佐藤まさひさ (@SatoMasahisa) August 2, 2019
特定3品目の許可制度の変更とはリスト規制対象品の中で、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素についてはこれまで3年間有効な包括許可だったものが個別許可に切り替えられたということです。
これはもともとこの3品目は許可が必要で、3年に1回の契約更新でよかったものを個別契約にしたという意味ですね。
なので輸出できなくなったとか、許可が新たに必要なわけではないです。
ホワイト国からの除外もノーチェックの優遇がなくなっただけで、優遇のない通常の対象国と同じような正規の手続きを踏めば韓国も日本と取引することは今後も可能なんですね。
イメージ的には規制というよりは優遇がなくなり普通の手続きに戻ったというものなのですが、韓国はかなりの反発をしています。
それは機械や電子機器、車などの韓国の産業にダメージがあるからと言われています。
韓国のホワイト国除外は8月28日から発効される見通しです。
今回のまとめ
- ホワイト国とは兵器に転用できる品物をノーチェックで輸出OKと日本が認めた国のこと
- 韓国が除外された決定的な理由は公表されていないが、協力して輸出管理ができないと判断されたことが大きい
- 不適切な輸出管理として報道されているのは、韓国を経由して懸念国へ横流しされているというもの
- 輸出管理は世界的に協力している問題のため、韓国の行動によっては日本の責任問題にもなり得る
- ホワイト国から除外されても優遇がなくなるだけ、アジアの他の国と同じ手続きになるだけと政府は説明している
- 徴用工問題の報復ではないことは日本政府も強調している
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